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物書き学生の話③

前回の続き。
三島由紀夫の話もそこそこに、今度は自分が書く小説について。お互い、エンジンがかかってきました――

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僕:やっぱり、小説がすごい好きだっていう学生として捉えていいのかな。O君は。

O君:どうなんでしょうね……。僕は割りと、まあ、自分の創作のフォーマットが小説ですけど、確実に小説以外のところから受けているインスパイアのほうが大きいですから。

僕:ほお~

O君:そんなことを、矢沢あいも言っていて…『ナナ』の。

僕:漫画じゃなくて…

O君:ミュージシャンから得ているって言っていて…。矢沢あいってのもどうかと思うんですけど。

僕:(笑)

O君:でもまあ、恥じているわけではないんですけれども…。

小説と、「男と女」について。

僕:小説家志望ですか?小説家って言うよりはむしろ…

O君:むしろ文筆業目指したいっていう…。小説を書くのは、どうも好きですけど

僕:ああ

O君:書けるのであれば別のものでも

僕:ブログとかでもいいの?

O君:それは…。なんていうのか、それで食っていきたいっていう欲求はあるので…

僕:ケータイ小説?

O君:つらいです・・・

僕:さっき携帯でさ、「ケータイ小説」って検索したら、いっぱい出てきたんだよ。

O君:ちょっと、読みました?

僕:あらすじだけ読んだけど…

O君:気持ち悪い…

僕:気持ち悪い。

O君:…本質っていうか、スジはケータイ小説でもおかしくはないものを…いま、二万字くらいで書いているんですけど…

僕:ああ、小説を?

O君:あの、主人公と…(未発表作品のため割愛。)

僕:――面白い。

O君:そうですか…?

僕:うん

O君:――「男と女」って面白いなって…

僕:(笑)

O君:恋人と別れて初めて気づいたんですよ

僕:そうなの(笑)?どんなところが一番…

O君:あの、(小説内の)男のそういうポジションは、モロに自分のそういう部分の投影なんですけど…

僕:うん、まあその人しか書けないっていうからねえ。

O君:本当に、まあ、女性もそうなのかも知れませんけど、(異性の)ほんの少しの行動を、すごい増幅させられるなって思うんでよ。

僕:まるでアンプのように…

O君:そう、アンプリファーですよ!

僕:(ギターを弾くしぐさで)こんな、ピンッ!ってやっても、もう、チューニングだけで爆音にもなるような(笑)

O君:そうなんですよ。それが、すごいなぁ、と思って。男と女の、その構図を描ければ成功だって気持ちで書いてます。

僕:ああ~、なるほどねぇ!――なんか、独特の疾走感があるかもね。その、なんというか…

O君:で、野心として持っているのは、一つの到達点として「セックス」があるんですけど、結構、あの、到達点に至るまでの道のりとして、「セックス」が使われている物語って多いと思うんですけど、――フランス映画って結構そうじゃないですか。

僕:フランス映画、そうだね。

O君:導入がまずセックスで、それから倦怠があって、恋が終わって、こういう物語が終わる。

僕:フランス映画の好きなところは、最後が、ちょっと哀愁で終わるところが好きなんだよね~!

O君:あっ、いいですね~

僕:どうしようもない無常観というか

O君:明確に終わらないんですよね。あれがいい

僕:ちょっとそういう(肉欲的な)ものを超えたところに、物語を持っていくっていうのは、す~ごい好きだね。

O君:なんか、恋愛間のゴールが「セックス」って、そんなにないと思うんです。

僕:まあ、セックスで終わっちゃうのもあるけどね。現実っていうか(笑)やいのやいの・・・でチャンチャ~ン、みたいな

O君:ありますけどね、ありますけどね

僕:なんだろうな、「キス」で終わる映画とか、同じことだよね。

O君:まあ、あの、そのシーンが、ラストシーンではなくて

僕:ちょっとしたエピローグっていうか、なんというか

O君:(ゴールとして)それを丸々あの、恋愛の一つの流れとして…書きたいんですけどね。

僕:アンプリファーなところから、合体するわけだ

その後も、小説の内容について小一時間。
話は僕がO君の小説は「神話みたいだ」と言ったところから。

O君:ノースロップ・フライなんかも言ってましたけど、話って、文学って神話から始まって、どんどん環境のレベルとか、人物のレベルが人間より上のものから下のものへ、下がっていくっていう。神話は環境も、登場人物も、人間より優勢のものであって、それがだんだん、リアリズムとかになっていって、最終的にはアイロニー、風刺文学、人並み以下の人物を風刺するものになっていったそうです。

僕:ああ~、「しましまとらのしまじろう」とかでしょ?

O君:そうですね。

僕:……。

O君:町田(町田康)なんかもそうだと思うんですけどね!

僕:カフカとかもそうなのかも。虫になっちまった~!って。

O君:で、僕はそれを、順に上から復習してきている訳ではないですけど、回帰する必要はあるのかなーと思って。脈絡があって、構図にも意味があって、その基盤をちゃんと計算して作る必要が、やっぱりあるんだっていうことを、小笠原さんと話していて思ったので。で、ポジションにもちゃんと意味を与えて、その交流にも意味を与えようということを……

僕:おお~、おもしろいね、それ。

O君:でも、いざ筆を運ぶときは、もう自分の感覚で目一杯なんですよ。

僕:あ~。…それは、それで楽しい…というかそうするしかない…とは思うけどね。

O君:で、そう意識すると結構、書きながら、ものすごい夢中で書いた割に、一晩で客観視できるんですよ。まあ、勿論、推敲には至らない、へぼい客観視なんですけど。

僕:ふむ

O君:書いているときに、その作品と距離がないのに、書き終わってみると距離ができる…っていうことが、できるようになったので、成功してるんだな、今のところ…

僕:なるほどね

O君:さきほど仰られた、「神話」って言うのは多分、勝手ながらの古典回帰という意識がでているのかな~と。

ここで、コーヒー二杯目に突入。次回は物語を書いてゆく生活について、あれこれお話しますよっ!

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